日刊webあきたタウン情報

裏・取材にっき。 vol.7

2019.04.02
(更新日:2024.03.29)

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あきたタウン情報 編集部のTommyです。
気づけば、編集の仕事に携わってついに10年目を迎えました!
このコラムでは、日々の取材で感じたことや、編集という仕事の面白さなどを、徒然に書いていきます。
それでは「裏・取材にっき」vol.7のはじまり、はじまり。

語彙力強化! 私のおすすめ本

毎度お決まりの導入が、ちょっぴり変わったことに気づきましたか?
そう、この4月でついに入社10年目に突入いたしました! 気づけば、早10年。
22歳だった私も32歳………振り返るのはやめましょう、自虐に走りそうです。

今回は趣向を変えて、タイトル通り私のオススメ本を紹介!
ちなみに皆さんは、どのようにして本を選んだり読んだりするのでしょうか。
私は書店に足を運んだら、できることなら1時間は滞在したいタイプ。
店内に漂う新書の匂いや、整然と並ぶ本棚、味のあるPOPなど、独特の雰囲気に恍惚としてしまうんですよね…(うっとり)。
まずはぶらりぶらりと、平置きをチェック。ムック本・コミック・ガイドブック・小説…コーナーごとにじっくりと表紙を眺めたら、「売れ筋ランキング」のハードカバーも吟味して。
今はこういう本が話題なのかと手にとり、パラパラと。そうしてひと通り満喫したら、いよいよお目当ての本棚へ。

私は昔から大のミステリー小説好きで、江戸川乱歩にアガサ・クリスティ、夢野久作、乾くるみ、米澤穂信、東野圭吾(各敬称略)などなど…ハラハラドキドキしながら読み進め、最後のどんでん返しでハッと心臓を掴まれるような作品にとにかく夢中。
中でも東野圭吾作品が大好きで、彼の本だけは文庫化を待てないんですよね…!

ガリレオシリーズ最新作の『沈黙のパレード』も面白かったので、未読の方はぜひ。

と、まぁ、オススメ本を傾倒する東野圭吾作品にしても良いのですが。
編集者として、取材の原点に立ち返らせてくれた一冊をここでは紹介したいと思います。

「サンドウィッチは銀座で」著・平松洋子/画・谷口ジロー(文春文庫)

『文芸春秋BOOKS』で第一章の試し読みもできます!


原稿をずーっと書き続けていると、悲しいかな、不足するのが〈語彙力〉。
ついつい、同じような表現を繰り返してしまうことがあります。
自分で書いた原稿を眺め、「ああ、このままじゃいかん!」と思った時に読み返しているのが、この一冊。
著者・平松洋子氏の飽くなき好奇心と胃袋で、“いまの味”を探し求めた絶品エッセイに、故・谷口ジロー氏(「孤独のグルメ」でご存じの方も多いはず)の漫画がかけあわさり、四季の味覚があふれています。
何が素敵って、その表現力! 読んでいるだけでもう垂涎モノ。以下、一部引用です。

 銀座六丁目「いわ井」の扉をからりと開けると、主人の岩井義郎さんがまっ白な上着に身を包んで、先客の天ぷらを一心に揚げている。ぴちぴちぴち、油がきめこまやかに躍る音。とたんに食欲が騒ぎ出す。
 まずはどうぞと供された煮びたしの小鉢に、浮き足立った。
 わらび、うるい、しどけ、菜の花。
 いきなり春がごあいさつ。「きょうは存分に春を召し上がれ」という口上でもある。しゃきしゃきの歯ごたえの中に、かすかなぬるみ。春がしずかに滲んでいる。

これは第一章「春を探しに」のほんの冒頭に過ぎない部分ですが、
お店に入った時に見えた風景、聞こえてくる音、自身の高揚感、小鉢から伝わる店主の確かな技術…読んでいるだけでそれらの情景が自然と浮かんできて、自分をその場に置き換えてしまいたくなる魅力にあふれています。

“エッセイ”と“タウン情報誌”、本質的には異なるものですが、読むだけでそのお店に足を運びたくさせるこの文章力、表現力に感服しっぱなし。
取材先に訪れた時、〈五感〉で魅力を感じることが大切なんだと再確認した一冊でした。

今回は好きなエッセイを挙げましたが、やっぱり一番大切なのは、「本を読むこと」。どんなジャンルでも、自分には無い表現力や語彙を吸収し、蓄積できるのは楽しいことです。

新元号「令和」も発表され、今年は大きな節目の年になりそうですね。
令和元年、皆さんは何をしますか?
私は読書量を増やしたいところ。皆さんも、目標を立ててみてはいかがでしょうか。

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